こんにちは!
オンラインダイエットコーチの藤本です。
あなたは呼吸の仕方を気にしていますか?
普段何気なく行っている呼吸ですが、以前からダイエットや健康に対して効果があると考えられてきて、様々な方法が行われてきました(有名どころではロングブレスダイエットなど)。
では、実際の所、呼吸を変えることで何か効果はあるのでしょうか?
今回は、実際に呼吸ってどんな効果があるのか?良い呼吸の仕方とは?ということについて呼吸のエキスパートであるPRI Japanの阿部さゆりさんにお話をお伺いしました。
目次
阿部さゆりさんのプロフィール
PRI Japan代表
1983年生まれ。東京都出身。
2002年に渡米し、テキサス州立サンマルコス大アスレティックトレーニング(AT)学科を卒業後、現地で高校・大学でアスレティックトレーナーを務めるとともに大学での臨床助教授・講師などを務める。2018年に日本に帰国後に大学の教員などを務めた後、2020年にPRI Japanを設立。代表に就任
PRIとは?
PRIとは
Postural : 姿勢
Restoration: 修復・修理・復元・回復
Institute: 施設、協会
の頭文字をとったものです。
PRIは人体に共通して起こる姿勢と姿勢から起こる問題に対して、さまざまな方法を用いて改善していく理論・メソッドです。PRIの基礎であり中核になるのが呼吸。ですからPRIを学ぶ過程で呼吸について多くのことを学びます。
PRIはすでに多くのプロスポーツチームのトレーニングコーチや著名なパーソナルトレーナーが採用し、効果を出しているとても信頼できる理論・メソッドです(藤本がPRIのセミナーを受講して感じたPRIとはです)。
ウエストが2サイズダウン!?呼吸を変えることでダイエット効果は?
本日はどうぞよろしくお願いいたします。
私のお客様の多くはダイエットをしたいお客様なんですが、呼吸を変えるとダイエット的に良い効果はあるのでしょうか?
呼吸を変えて急に体重が減ることはないと思います。
しかし、さまざまな研究論文で横隔膜をしっかりと使うような呼吸エクササイズに取り組むと代謝率がアップしたり1)、食欲が抑えられたり2)という報告がされています。
ですから、ダイエット効果が全くないとも言い切れないかなとも思います。
私のクライアントさんでも呼吸介入を行うことで、ウエストが2サイズ(約5cm)サイズダウンしたことがありました。
呼吸を変えることで夜ぐっすり眠れるようになったり、体が動かせるようになったから運動するのが楽しくなって運動量が増えたりということもあります。
そういうアクティビティの積み重ねにより結果的に体重の減少につながったのかな?と思います。
その方は30代半ばの妊娠中の女性で健康的に出産を迎えたいということでセッションに取り組んでいました。
出産すると、いわゆる骨盤底に大きなダメージがあるのですが、呼吸介入することで早い段階からアクティブになれたって言うこともあるかもしれませんね。
すごいですね。
ウエスト5センチ減少は体重が4〜5kg減くらいのインパクトがあると思います。
出産後の体型崩れにも効果があると考えられますか?
個人的にはすごくあると思っています。
出産後の体型が崩れる大きな原因を出産経験者に聞くと、自分の体が思うようにコントロールできない、どうやって力を入れて歩いていたのか?などがわからないと感じる人が多いんです。
出産自体のダメージ自体もどうしても起こってしまうものです。しかし、出産のダメージから本来あった良いリズムを早く取り戻すという意味でも、呼吸を改善することはとてもいいことなのかな?と思っています。
骨盤のコンディションを良くすることで体型が改善する
妊娠・出産すると骨盤まわりに大きな影響が出ますが、どんな崩れ方をして姿勢や体型に影響するのでしょうか?
出産をすると、筋肉が裂けるなど骨盤底そのものが物理的に破綻します。
骨盤底は体幹部分の底にある筋肉で、臓器の重みや腹圧など体の中で生まれる色々な圧を受け止めてくれるハンモック的な役割があります。
出産をすることで骨盤底というハンモックは破綻してしまいます。破綻すると骨盤底はダランと下に垂れてしまい、重みや圧を受け止められなくなってしまいます。
しかし、内臓などの重みは変わりませんしお腹の中で圧も起こります。重みも圧も骨盤底では支えられないので別の部分に移動することになるんですね。
どこに移動するかといったら個人差はありますが、下腹部に出ることが多いと感じています。
お腹が圧に負けてぽこっと飛び出るような格好になるんですよね。
私のクライアントさんでも体重は減っているけどお腹が最近出てきたという人が、何人かいました。
それは必ずしも脂肪ではなく、圧が制御できなくなって下っ腹に出てきているのだと思います。
ですから、妊娠・出産をすると圧などが制御できなくなって体型が変化してしまうのではないかと考えています。
呼吸は体内での圧制御に対して大きな影響を持っていますし、横隔膜と骨盤底は連動して動いています。ですから、呼吸を改善することで圧制御が上手になってお腹周りが細くなったのではないかな?と思います。
肋骨が締まることもウエスト周りを細くする効果につながると考えられますしね。
妊娠・出産だけでなく骨盤底の状態が悪いと、性別関係なく全ての人に起こりそうなことですね。
肋骨の角度は90°以下である必要はない
肋骨が締まるという話題が出たので、ちょっと話題を変えて肋骨の確度についてお聞きします。
よく、胸の中心部にある肋骨が交差する点の角度で90°以上はリブフレア、それ以下だったらOKと言われることがありますが、阿部さんはどう思われますか?
その角度にこだわったことはないです。
そもそも、肋骨は丸いカゴ状の構造をしていて内臓を包むように360°広がっているものです。
なので、肋骨の動きや締まりの話をするならもっと「肋骨のここらへんがこれぐらい動いたらいいよね」、というような話もちゃんとされるべきだと思っています。
例えば、後ろ側の肋骨がしっかりと広がり、背中側に空気が入っていくこともすごく大切です。
ここの人の体の作りにはすごく個人差がありますし、肋骨の前側の角度だけにそうこだわることはないと思います。
90°があるないだけでは、それが良いか悪いかは判断できないという事ですね。
角度だけで良し悪しは判断できないと思います。
大切な事は、呼吸をするときに肋骨が自然に内旋・外旋が行われているかどうかです。
肋骨の内旋とは息を吐くときに肋骨が下がりつつ内側・後ろ側に入っていく動き。
逆に肋骨の外旋とは息を吸うときに肋骨が上がりつつ外側・前側に広がっていく動きを指します。
これらが、力みすぎずに自然に行われているかどうか?が大切になります。
あなたはできてる?呼吸が正しくできているかチェックする方法
肋骨の角度よりもしっかりと肋骨が動いて呼吸ができているか?の方が大切なのですね。
では、しっかりと呼吸ができているか?肋骨が動いているか?をチェックするための方法はあるのでしょうか?
肋骨の内旋がしっかりできているかの確認は、必要な筋肉に収縮感があるか?実際に肋骨が動いているか?をチェックすると良いでしょう。
肋骨を内旋させる筋肉は内腹斜筋や腹横筋という筋肉です。実際に使われるといわゆるシックスパックができる腹筋の少し横側に収縮感が出ることが多いので、息を吐いたときにお腹の横側に収縮感や力が入っているか?をチェックするといいと思います。
それから肋骨を実際に触ってみて、息を吐いているときは肋骨が下・内・後ろに動いているか?その感覚があるかどうか?をチェックするとよいですね。
後ろとは背中側に空気が入ってふくらんでいるか?です。先ほど話したように肋骨はカゴ状になっています。
上手く呼吸ができていれば息を吸ったときに360°全ての方向に広がりますから、その感覚があるといいですね。
ですから、吸ったらどこに空気が入っているか?を感じてみるのもいいと思います。
逆に、首や肩などに力が入って緊張しているような状態では、もしかしたら上手く呼吸ができていないかもしれません。
そのあたりは呼吸補助筋と呼ばれて呼吸を助ける役割があるんですが、緊張するほど過剰に働いて欲しくはないんですね。
なので、ここら辺に全く力が入っていないぐらいなのがちょうどいいのかなと思います。
顔の形が変わってしまう口呼吸
逆に悪い呼吸はあるのでしょうか?
強調しておきたいのは、悪い呼吸というのはありません。
空気を吸って酸素を取り込んでいればそれは素晴らしい呼吸になっていますから、自分の呼吸は悪い呼吸なのかと過度に心配する必要はありません。
ただし、場面に適した呼吸は絶対にあります。
例えば、デスクワーク中とバスケットボールをしているときの呼吸は違いますよね。
日常生活での呼吸は鼻から十分に息が吐かれて、ふんわりと息が吸われ、横隔膜がしっかりと働き、肋骨が十分に内外旋するものであるべきです。
逆に、激しい運動をしている最中は口からも息を吸わなければ酸素が確保できませんから、適当な口呼吸が必要になります。
日常生活は鼻から呼吸をした方がいいとのことですが、口呼吸は鼻呼吸と比較するとするとどのようなデメリットがあるのでしょうか?
口呼吸でも酸素を取り込むという意味では十分な役割をしているのですが、鼻呼吸と比較してメリットはなく、デメリットが多いのです。
例えば、口呼吸をすると首が前に出やすくなってしまい3)、気道が潰れてしまい、鼻呼吸よりもかなり非効率な呼吸になります。
非効率な呼吸をすると、首周りの呼吸補助筋を過剰に使い4)、首・肩こりなどの原因になることが考えられます。
口の中のかみ合わせが悪くなったり5)、咀嚼の効率も悪くなったり6)虫歯の問題が出たりします7,8)。
そういったこともあるからか、顔の形にも直結するところもあります9,10,11)。
睡眠の質も悪くなります。長くベッドに入っているのに疲労感がとれないなんてこともあります。
顔の形に影響が出るという部分は特に興味がある人が多いと思うのですが、どんな感じになってしまうのでしょうか?
首が前に出て顔が細長い感じなのと、ポカンと口が開いている感じですね。
あごで言うと結構、下あごが下がってきてしまう印象ですね。
ちょっと目もたるんとしていてダルそうな雰囲気の顔になります。
そういう人の呼吸介入前後の写真を見比べると面白いんですよ。
鼻呼吸になるとみんな結構顔がキリッとしたり、目が明るくなったりするんですよね
良い睡眠がとれていないことが大きいのかな?とは思うんですが。
口呼吸からいろんな悪い循環が始まるイメージですね。鼻呼吸にすることでその悪循環を断ち切れそうです。
椅子や机の高さも重要!阿部さんのデスク環境
余談ですが、デスクワーカーなどは机や椅子の高さが合わず呼吸補助筋を過度につかってしまう人も多いです。
それから集中を要するような仕事が入ってきたときには呼吸が浅く速くなってしまったり、首を使ってしまったりすることもありますね。
そういうときは時間ができたときに、ふっと息を吐いて肩を落としてリラックスしてから仕事を再開してもいいかなと思います。
私もデスクワーク中心の仕事をしているのでとてもよくわかります。椅子・机・モニターの高さなんかはやはり気にしています。
阿部さんもデスクワーク中心かなと思うのですが、座っているときに気にしている部分はありますか?
マニアックすぎてこれは使えないと思うんですが、左の周辺視野は使いたいので左側の少しだけ高めの位置に一番大きいモニターを置いて、右側に小さいサブモニタを置いて作業しています。
モニターがいくつかあると姿勢が振れる機会になると思うので、一定にするよりはいいのかなと思っています。
あと、座っているときに座骨結節を感じるようにしています。今、座ってて座骨結節が感じられてないなと思ったら座り直すようにしています。
マニアックすぎる笑
首の振れ幅は少し左右に大きくした方が良いんですか?
座って作業すると本当に動かなくなってしまうので、少しでも動き要素を増やすというのはいいのかなと思います。
他に、両足はフラットに地面についていた方が絶対にいいので、椅子の高さは調節するようにしてます。
足が床につかないふわふわした状態だと、どこかに筋緊張を作って安定しないといけなくなってくるので、そこは結構、首に出やすいのかなと思うんですよね。
背筋や背もたれをどう使うか?みたいなことは考えられてますか?
あんまり気にしてないですかね。仕事をしているとどうしても前のめりになりがちなので、あまり調整はしてないですね。
背筋を伸ばし続けるというのもあまり好きな表現では無くて、背筋を伸ばそうとすると、腰が反れてくるとか体が前に倒れてしまいがちです。
そうなると、肋骨の後ろ側が広がりにくくなってしまいがちなんですよね。
個人的にはむしろ、時々息を「ふうっ」と吐きながら背もたれにかかるぐらいのリラックス度があってもいいんじゃないかなと思います。
呼吸を変えることで得られる健康的な効果
ではダイエットから1度離れて、呼吸を変えることで得られる健康的なメリットをお聞きしたいんですが、例えば、首・肩・腰痛・関節痛などに関して何か効果はありそうでしょうか?
首・肩にはかなり効果があると思います。
首・肩の筋肉は呼吸補助筋として活動するのですが、それが常に緊張しているような呼吸をしていると首・肩の筋肉が疲労してコリにつながってくると思います。
逆にゆっくりとした呼吸をすることで筋の緊張がほぐれ、痛みが緩和されることもよくあります12,13)。
呼吸補助筋の活動を最小限に抑えられると、緊張がほぐれ首・肩が軽いとおっしゃる方が多いですね。
呼吸補助筋の働きを最小限に抑えることで、首・肩コリに効果がありそうなんですね
首・肩の力を意識して力を抜くことは難しいですよね。
力を抜くためには筋抑制と言われる、自律神経の調整などで無意識に力が抜けるようなことをすることが大切です。でなければ慢性的な筋緊張はとけずに、マッサージなどをしても一時的な効果にしかなりません。
呼吸を変えることで、体と脳に「本来呼吸で使う筋肉はここだよ」って落とし込んでいくと、筋抑制が起こりやすくなります。
結果、過度に緊張していた首・肩・腰などの緊張がとれやすくなってくるのかなと思います。
他に体力的な部分では期待できるところはあるのでしょうか?
ここはガッツリエビデンスがある所なんですが、横隔膜を使った呼吸トレーニングに取り組むことで身体パフォーマンスがアップするのは言えます。
例えば、長距離走のスタミナやサッカーのようにダッシュとストップを繰り返すのにもかなり効果があると考えられます。
脳機能にもさまざまなエビデンスがあって、鼻呼吸をすることで記憶力がUPするなんて報告や14)、難易度の高いテストを受ける前に、5秒かけて7秒かけて息を吐く、呼気を重視した呼吸を2分間行ってから受験をした方が高い点数がとれた研究もあります。
日常生活でできる良い呼吸の作り方
呼吸を改善するために、一般の人でも簡単に取り組めるものなどはありますか?
デスクワークの時にちょっと一息ついたときや呼吸が浅くなっているなと感じるときに
肩を下げて口から「ふー」と息をしっかり吐いて、鼻からふんわり息をすう。そして、背もたれに戻ってリラックスしよう
ってくらいでもいいと思います。
仕事に集中すると首が前に出て、肩は上がって緊張してしまいがち。であれば、一旦リズムを戻す取り組みをすることは大事だと思います。
そういうことを繰り返していく内に徐々にいい呼吸が出てくる頻度が高まってくると思うので、まずはそういう部分から取り組むといいですね。
普段からイライラが多く、リラックスできない人は一分ほどでよいので、呼気:吸気 = 2:1くらいのゆっくりとした呼吸を繰り返すだけで副交感神経活動は上がってきます15,16,17)。
吐ききった後に4秒くらい息を止めて18)、「吸いたい」という衝動と戦ってみるのもいいですね。
そんなに速いペースで呼吸をしなくても大丈夫だよ、という身体のメトロノームにリセットするチャンスをあげましょう。
横隔膜呼吸のやり方
さっきから数回出てきていた横隔膜呼吸というのはどのような呼吸なのでしょうか?
横隔膜は全ての呼吸で使われているのですが、横隔膜呼吸と呼ばれるものは、自然なリズムで十分な肋骨の内外旋が出ている呼吸だと思っています。
一般的に腹式呼吸のようにお腹が凹んだりふくらんだりさせるのが良くて、それが横隔膜呼吸だと思っている人も多いと思います。
しかし、横隔膜を使った呼吸をすると、お腹だけではなく胸や背中など前後360°全てに膨らみが出てきます。
どのようにすれば横隔膜呼吸はできるようになるのでしょうか?
まずはチェックするために、呼吸をしてどこが動くんだろうと確認することが一番ですね。
膝を曲げてあおむけに寝転がって、胸やお腹に手を当ててもらって、お腹と胸が同時に上がり下がりできているのか?をチェックしてみましょう。
上手く出来ていなければ腰を床に当てたり、わき腹に力を入れたりなど色々姿勢を変えてどう入ってくるのかを試してみるのもいいですね。
ひとつアドバイスを付け加えるとしたら、しっかりと強めに長く息を吐いてみるといいと思います。肋骨が下がって内側に入っていくような実感が得られたらOKです。
そして吐ききったときに、お腹の横側あたりに力が入っているかどうかを感じられたらいい呼吸ができていますね。
それを維持しながら鼻から軽くふんわりと息を吸ってもらえたら、胸とお腹が同じような感じで広がってきやすいと思います。
毎日寝る前にちょっとだけやってみるって言うのも呼吸の習慣が変わってくるかもしれませんね。
吐く強さはどれくらいがいいでしょうか?
口をすぼめて結構強めに吐きましょう。ろうそくの火を消すイメージで。
ジョギングやウォーキングなどの軽い運動であれば、鼻呼吸の方が口よりも効率の良い呼吸になるので意識して続けると良いです。
しかし、バスケットボールのような激しい運動ではどうしても無理なので、そこは口呼吸が含まれてきてもしょうがないかなと思います。
腹式呼吸も胸式呼吸もどちらも優れていない
胸がふくらむ点をみていると、一般的に胸式呼吸と呼ばれる呼吸のように感じますが、胸式呼吸と腹式呼吸はどちらが優れているのでしょうか?
常時行う呼吸という観点からお話しすると、「どちらも優れていない」と感じます。
効果的に横隔膜が使われ、胸郭に十分空気が引き込まれるとその空気は胸郭を360°全方向に押し広げ、圧を上げます。
同時に横隔膜は腹部に向かって下降し、お腹の圧も上昇させます。お腹の圧が上昇すると腹部も胸郭と同様にふくらみます。
つまり、横隔膜が効果的に使われると、息を吸うと胸と腹部が同時に広がり、吐くと両方とも下がるのです。言うならば「胸腹式呼吸」なのかもしれません。
日常での呼吸ではこの「胸腹式呼吸」が最も優れていると私は考えています。
肋骨締めるコルセットってどうですか?
ちょっと話題を変えます。肋骨を締めてウエストにくびれを作るためにコルセットを巻く人もいますが、呼吸などについてどんな影響が考えられるでしょうか?
コルセットを巻くことで肋骨を無理に内旋へもっていくわけじゃないですか。なので、息を吐くことの手助けになる可能性はあります。
一方で、息を吸ったときには、ウエスト周りが締められているので肋骨の上部に空気が入ってきて、肋骨の広がりを邪魔してしまうのではないかな?と思います。
そういう意味では自分の中にあるナチュラルコルセットと呼ばれる腹横筋や内腹斜筋なんかを使えた方が良い呼吸を作る助けになってくれるのかなと思います。
そうしたナチュラルコルセットを働かせられないと、長期間いい効果の維持は難しいと思います。
肋骨を締めることだけではなく、広げられることもとても大切なのですね。
リンパや血液など本来流れるべきものを過度に圧迫するような長期間の介入は、理由がなかったらおすすめしないですね。
慢性鼻炎の人はどうすればいい?
鼻呼吸の方が良いというお話ですが、慢性鼻炎や喘息などで鼻呼吸をするのがツラいという人はどうすればいいでしょうか?
これは必ず医師との相談の上行って欲しいのですが、鼻をかみながらでもいいので、できる範囲で鼻呼吸にトライしてみるのがいいかもしれません。
というのも、口呼吸そのものがアレルギーに伴う炎症反応を促進してしまうことがあるのと19,20,21)、ゆっくりとした呼吸で副交感神経の活動を促せば、炎症反応そのものが改善されるというケースがあります。
ですから、継続して鼻呼吸をトレーニングすることで、発作が出にくくなったり、出たときにもさほど発作の程度が小さくなったりすることがあるかもしれません。
もちろん、鼻炎の明確な原因がわかっている場合には耳鼻科で治療する必要があります。
治療と並行して頑張って鼻呼吸をした結果、炎症がおきにくくなり、鼻炎が出にくくなったということはあるので、できる範囲でやってみてもいいと思います。
無理のない範囲で鼻呼吸を継続して行うと、ポジティブな効果も期待できるということですね。
本日はとても貴重なお話ありがとうございました。
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