数字で見る筋トレと身長

筋トレをすると身長が伸びなくなる。

このことを聞いた事がある人は多いと思います。

最近でこそ身長が伸びなくなる事は無いということを聞くようになったと思いますがなかなかこの懸念は消えません。

一方で具体的に今までの調査のデータで見せられた事はないですよね？ですので今まで行われたリサーチをご紹介しながら実際に身長の伸びはどうなのかを見ていきましょう。

筋トレグループとしないグループの比較

思春期前

最初にこちらの記事で取り上げたリサーチから見ていきましょう。

思春期前の筋トレは無駄なのか？-効果の側面から-

福永らは小学校1・3・5年生を対象に12週間の筋トレを実施しました。両グループ共に統計的有意に身長の伸びが見られましたが、トレーニングをしたグループ vs しなかったグループで身長の伸びの差に違いはありませんでした。

少し期間が短かったかもしれません。ではもう少し長期的に実施された調査報告を見てみましょう。

Sadresらは平均年齢9.2歳(±0.3)の男女児に2年間のうち合計「18ヶ月」週二回の筋トレを実施し、身長の伸びは統計的有意にあったが、伸び具合については実施しなかったグループと比較して違いがなかったという報告をしています。

その他の研究も同じような結果が出ており、思春期前において長短期共に身長の伸びが統計的有意に差があるという事はどの調査においても確認はされていません。

思春期以降(12歳以上)

思春期を12歳以上と定めたのは単純化するためです。その理由は「思春期前の筋トレは無駄なのか？-効果の側面から-」(クリックすると記事がご覧になれます)をご覧ください。

では12歳以上の調査報告を見てみましょう。

Christouらは12-15歳の男子サッカー選手を対象に週二回16週間の筋トレ(55〜80%1RM)を実施し、サッカーのみのグループ・実施しなかったグループと運動パフォーマンスなどの変化を比較しました。その結果、3グループともに身長の伸びは統計的有意にあったがグループ間において伸び方に差はありませんでした。

サッカー + 筋トレだと運動のストレスが強すぎて身長に悪影響が出るんじゃないか？と言う懸念があるかもしれませんが適度なサッカーの練習+筋トレの実施においては身長の伸びを阻害しませんでした。

つまり、筋トレ単独で実施したところでこれよりも低いストレスになりますから筋トレ単独で実施しても身長の伸びが阻害されることは考えにくいでしょう。

またEstebanらは14-16歳の男子ハンドボール選手に対して6週間の筋トレを実施したところ筋トレ+ハンドボールグループとハンドボールグループは統計的有意に身長が伸びましたが、伸び具合に統計的有意差はありませんでした。

このように筋トレをしたからといっても適切に実施されれば身長の伸びが阻害されることはありません。

Malinaは過去のリサーチをまとめて調査し、身長の伸びに悪影響がない事を確認した事を報告しています。

ですから筋トレが身長の伸びを阻害することはありません。

適切に実施されればという前提

もちろんこれは関節に入ってくるダメージが少ない適切なフォームで過剰な量を実施しないということが前提です。もし、体を壊すような無茶な事をしたら身長に悪影響が出る可能性も否定できません。

しかし適切に筋トレが実施されている限り、身長の伸びが止まることはありません。

しっかり栄養と睡眠等休養をとり、良い練習と良いトレーニングをしてパフォーマンスを最大限高めるようにしてきましょう。