こんにちは!
宇都宮のパーソナルトレーナーの藤本です。
東京でパーソナルトレーナーとして活動をされている大道さんが以下のようなツイートをされていました。
デカくなる・強くなるだけが筋トレじゃない!という主張をしたところ一部のマッチョが「言い訳だ」「逃げるな」などと反応しているようですが、僕が力になりたいのは体型を改善したいのにできない、外見に自信がないといった「自分のマイナスをゼロに戻したい」方々なのでそもそもの価値観が違います。
— みすたーだいどー / パーソナルトレーナー🌤️ (@daido_fitness) 2018年11月29日
このツイートをした背景にはトレーナーが中途半端な体では良い指導は出来ない、自分自身の体が大きくならないことから逃げるというような主張をされたという背景があるようです。
中途半端な体では良い指導はできない。
この主張はしばしば見かけるんですがそれについて考えた事をまとめていきたいと思います。
これを主張されていた方は筋力トレーニングやフィットネス競技をやっておられるようで「体」とはいわゆるボディビル等のフィットネス競技の体系を指していたと思います。
ですからそのような体を作る事を指しているようです。
目次
二つの主張が混ざっている
この主張には二つ主張が混ざっていると思います。
一つ目
その主張をした人の本意としては、おそらく「自分自身の体を作り上げるのに逃げ道を用意するな。それについて逃げ道を持つような姿勢でいてはいけない」というような主張なのだと思います。
こういう風に解釈をしなければ、フィットネス競技のカテゴリー別世界一の人以外は全て中途半端な体ということになりますから、その方が世界一経験者でない限りその方も中途半端と言う事になってしまいます。ですからそのあたりは認識されていると思います。
二つ目
そんな出来上がっていない体であればお客さんに説得力を持たせることは出来ない。だからトレーナーは鍛えるべきだ。
この二つの主張が混在していると感じました。
さて、ではトレーナーは100%逃げ道を無くして自分自身の体を鍛え上げる必要はあるのでしょうか?
逃げ道全部無くしたらフィットネス競技以外出来なくなる
逃げ道を全て無くしたら100%フィットネス競技のために人生を捧げる以外になくなるわけです。24時間365日自分の体をフィットネス競技で勝つための努力をし続けないといけないという事です。
これはパーソナルトレーナーとしてはどう考えるべきでしょうか?
競技者としての能力 = パーソナルトレーナーとしての能力
であるのであれば間違ってはいないと思います。
しかし重なる部分はあると言えどパーソナルトレーナーとフィットネス競技の選手は求められる能力が違っています。
もちろん競技でやってきた事はとても指導に活きる事は間違いありません。しかし、他の競技ではコーチングライセンスを発行している団体も多く競技者とは別に指導者として必要な能力があると認識されていると思います。
ということはパーソナルトレーナーと競技者でやるべき事が別な部分が出てきますから、それを兼ねながら24時間365日体を大きくする努力する事自体がそもそも不可能と考える事ができます。
ここまで極端でなくても、現実的には限りある時間の中で競技者としての鍛錬をしなければなりませんし、パーソナルトレーナーとしての鍛錬もしなければいけませんので時間配分をしなければいけません。もし、その中で十分に体を大きくする事に時間を割いていないという批判をするのであればどの範囲から十分に体を大きくする努力なのか?については議論しなければいけません。
説得力のある体って?
トレーナーの体の見た目は説得力がなければいけない。よく聞く言葉ですがこの場合見た目を評価するのは一体誰なのでしょうか?
パーソナルトレーナーはトレーニング指導やある特定の結果などの商品を提供しそれに対して対価をいただく仕事です。であるのであればトレーナーはお客様に体の見た目を評価していただく事になりますね。
つまりお客様が納得されればそれで問題が無いと考えられます。
パーソナルトレーニングをご利用されるお客様は様々です。フィットネス競技で勝ちたいという方もいれば、うっすら筋のラインが見える程度まで痩せたいと言う方、体の動きが悪くなったから動きを良くしたいという方もいらっしゃいます。
その方々全てが大きい体に納得されるわけではありません。
こちらは2018年オールジャパンメンズフィジーク40才以下172cm級で2位でパーソナルトレーナーの久野圭一さんのツイートです。
あとぼくのお客様に聞いたのが「久野さんは筋肉大き過ぎて怖いから大道さんとか優しそうな人にパーソナルはお願いしたい」という人がおられたそうな。非常にわかる。デカイ人に習いたい人はデカくなりたい人だけ。パーソナルのクライアントはみんなデカくなりたいと思ってるという勘違い、、、。
— 久野圭一@パーソナルトレーナー (@hisano1012) 2018年11月29日
大きい方がお客様が納得しないという実例を挙げていただきました(とても勇気のいる事だと思いました)。
ですから体が小さい方が有利に働く例もきっとあると思います。
じゃあ体は作り上げなくても良い?
前述したようにパーソナルトレーナーはお客様にトレーニング指導や結果というような商品を提供して対価をいただいている職業です。
厚生労働省によると職業の定義は
仕事と責任を遂行するために必要な技能、知識、能力などの共通性によって まとめられた一群
–第四回改訂厚生労働省編職業分類職業分類表改訂の経緯とその内容–
の事を職業と定義されるようです。
パーソナルトレーナーに課せられる仕事はトレーニング指導やそれに伴う業務の遂行で、その仕事とパーソナルトレーナーが販売している商品(指導自体や結果等)をお客様に提供する事やそれ自体をそれに必要な業務を遂行する事が責任という事ですね。
極論ですがパーソナルトレーナーとしては商品を適正に提供できている限り必ずしも体は鍛える必要は無いといえます。
見た目も手段の一つ
しかし現実を考えると見た目は明らかにお客様がトレーナーを選ぶ一要因になっています。
一方で前述したように大きい方が敬遠されるケースもあり、自分にとって程よい体のトレーナーを選ぶお客様もいます。
ですから自分が手助けできると思った対象のお客様が納得するような体を作っておく事は一つの選択肢として十分に取りうる手段だと思いますし、有効な手段の一つだと考えています。
注意しなければいけない事はそれはあくまでも手段であるという事です。上記の例のように見た目が大きいことや特定の何かである事はお客様に伝える上で有利になる可能性もありますし、不利になる可能性もあります。ですからお客様に商品の良さを伝えるための一手段としてそれを使うか使わないかはトレーナーの意志によって選択をされるべきであると思います。
何をどこまで努力するか、どう届けるか?
トレーナーが職業である以上は、何をどこまで努力するか?それをどう届けるか?についてはそのトレーナー自身の主体的な選択でしかないと思います。
トレーナーはトレーナー自身が手助けをできる方に対してより良い商品を提供できるように日々努力しています。
その中で自身がトレーニングを実践して学ぶこともありますし、セミナーに出て学ばせていただくこともあります。しかしトレーニング分野以外でも美術品や音楽の何かから学ぶ事もあります。つまりトレーナーと言えどトレーニング分野だけを学ぶだけでなく、その他の分野からお客様により良い商品を提供できるように意図的に学びにいくこともあります。そこには際限はありません。そうやって際限のない物の中から有限な時間を割いてトレーナー自身が主体的に選択をせざるを得ません。
しかしそれがお客様の悩みを手助けできるものであっても届かなければ意味がありません。ですから届けるためにも努力をする訳です。
それは見た目が届けたいお客様にフィットすれば届くというような単純なものではありません。
きちんとお客様の悩みを解決できる商品を作り、きちんとその事を伝えるため・届かせるためにそれぞれのトレーナーは日々試行錯誤しながら行動をしています。
現実的には限りある時間の中こういう事をトレーナーが主体的に判断してやることの時間配分をしていかなければなりません。
そういう中で見た目など「無理やり」「こう伝えるべきだ!」と伝える事は敬意がないのではないでしょうか(法律に違反している・明確に誰かに何らかの被害が出る・明らかに間違っている・根拠が欠けているなどのレベルならば別です)。
体を大きくしたい
筋肉質になりたい
というような方以外にも筋力トレーニングはとても効果的な事があります。
私も私が手助けできる人にきちんと届けるために努力をし続けたいなと改めて思いました。
コメントを残す